メンタルヘルス
    自殺者が3万人を越えてから、それに一致して会社員の精神疾患などが増えている。よってメンタルヘルスは産業医によって重点的に管理されるべき領域となっ た。分裂病(今は統合失調症という)とか人格障害とか大変扱いにくい疾患もあるが、一般的なのはうつ病と考えられている。実際は適応障害という状 態がもっとも一般的だろう。これはストレスを処理できない状態と考える。社会的背景がこの原因であろう。中高年ではIT化に適応できないとか若い 人は精神的にひ弱であるとか言われている。そして若い人を雇わなくなり結果的に過酷な勤務状況になっている。最近増えているのは古典的なわかりや すいうつ病ではない。古典的症状を伴わないうつ病が多いと聞いている。自殺するのがうつ病の最大の問題と思われる。うつ病に関してはセロトニンや ノルエピネフィリンの再吸収を抑えて、枯渇した神経伝達物質を回復させる薬があり、よく効いて副作用も少ない。これは内科でも処方できるのでまず は気軽に使ってよい。その他睡眠と気晴らしが重要で、このためには月100時間を越えるような超過勤務などもってのほかである。診断は病歴を聞く ことによってしかできない。月80時間を越えるような超過勤務は禁止されている。自分自身、上司、産業医、外部の順でケアする。長期の休職は、こ れによってかえって復職が難しくなる場合もあり、判断に慎重さを求められる。